聖書のギリシャ語
聖書のギリシャ語について解説していきます。
ギリシャ語のアルファベット
以下は、ギリシャ語のアルファベットを表にしたものです。
| 大文字 | 小文字 | 名称 | 発音 |
|---|---|---|---|
| Α | α | アルファ | ア/アー |
| Β | β | ベータ | バ行 |
| Γ | γ | ガンマ | ガ行 |
| Δ | δ | デルタ | ダ行 |
| Ε | ε | エプシロン | エ |
| Ζ | ζ | ゼータ | ザ行 |
| Η | η | エータ | エー |
| Θ | θ | シータ | サ行 |
| Ι | ι | イオタ | イ、イー |
| Κ | κ | カッパ | カ行 |
| Λ | λ | ラムダ | ラ行 |
| Μ | μ | ミュー | マ行 |
| Ν | ν | ニュー | ナ行 |
| Ξ | ξ | クシー | クサ行 |
| Ο | ο | オミクロン | オ |
| Π | π | パイ | パ行 |
| Ρ | ρ | ロー | ラ行 |
| Σ | σ/ς | シグマ | サ行 |
| Τ | τ | タウ | タ行 |
| Υ | υ | ウプシロン | ゆ、ゆー |
| Φ | φ | ファイ | ファ行 |
| Χ | χ | キー | カ行 |
| Ψ | ψ | プサイ | プサ行 |
| Ω | ω | オメガ | オー |
コイネー・ギリシャ語(Koine Greek)
聖書が書かれた当時のギリシャ語は、コイネー・ギリシャ語(Koine Greek)と呼ばれる古代ギリシャ語の一形式でした。
コイネー・ギリシャ語は、アレクサンダー大王以降の東地中海地域での交流を通じて発展し、当時の商業や政治、文化の共通語として使用されました。
聖書のギリシャ語も、このコイネー・ギリシャ語を基盤としており、聖書翻訳や聖書学の分野では、聖書ギリシャ語と呼ばれることもあります。
聖書のギリシャ語は、当時のコイネー・ギリシャ語の発音や文法の特徴が反映されています。
また、聖書の中にはヘブライ語やアラム語からの借用語が多く含まれており、独自の表現や言い回しが用いられています。
聖書のギリシャ語は、今日でも宗教的な文書や学術的な論文で使用されることがあります。
ヨハネの福音:冒頭の対訳
ヨハネの福音書の冒頭のギリシャ語と、その日本語訳(新共同訳聖書)を文節ごとの対訳で示します。
ギリシャ語:
Ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ λόγος, καὶ ὁ λόγος ἦν πρὸς τὸν θεόν, καὶ θεὸς ἦν ὁ λόγος.
日本語訳:
はじめに、言があった。そして、言は神とともにあった。そして、言は神であった。
対訳:
| ギリシャ語 | 日本語 |
|---|---|
| Ἐν | はじめに |
| ἀρχῇ | |
| ἦν | 言があった |
| ὁ λόγος | 言 |
| , | |
| καὶ | そして |
| ὁ λόγος | 言 |
| ἦν | であった |
| πρὸς | 神とともに |
| τὸν | |
| θεόν | 神 |
| , | |
| καὶ | そして |
| θεὸς | 神であった |
| ὁ λόγος | 言 |
| . |
以下が、ヨハネの福音書の冒頭のギリシャ語を初心者向けにカタカナ表記したものです。
- Ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ λόγος,
- エン・アルケー・エーン・ホ・ロゴス
- καὶ ὁ λόγος ἦν πρὸς τὸν θεόν,
- カイ・ホ・ロゴス・エーン・プロス・トン・セオン
- καὶ θεὸς ἦν ὁ λόγος.
- カイ・セオス・エーン・ホ・ロゴス
(注意:カタカナでの表記は正確な発音を再現しているわけではありません。実際の発音を学ぶ場合は、音声教材や発音指導を受けることが必要です。)
ギリシャ語を勉強する順番
ギリシャ語を勉強する場合、以下のような順番で取り組むことをおすすめします。
- アルファベットの学習
- ギリシャ語のアルファベットはラテン文字とは異なるため、まずはアルファベットの読み方や書き方を覚えましょう。
- アルファベットの覚え方には、暗記アプリやアルファベットの音声を聴くなどの方法があります。
- 基礎文法の学習
- 名詞や動詞の活用、文の構成、前置詞の使い方など、基本的な文法を学びましょう。この段階で、ギリシャ語のテキストブックやオンラインリソースを使って学習すると良いでしょう。
- 語彙の学習
- 基礎文法を学び終わったら、単語の学習に移りましょう。
- 日常会話で使われる基本的な単語から始め、徐々に難易度を上げていきます。聖書のギリシャ語を学ぶ場合は、聖書の中で頻出する単語から始めると良いでしょう。
- 読解練習
- 学習した文法や語彙を使って、簡単な文章から始めて徐々に難易度を上げた文章を読んでいきましょう。
- 読解練習には、ギリシャ語の聖書のテキストを用いることができます。
- 会話練習
- ギリシャ語を話す機会があれば、実際に会話をすることで、リスニングやスピーキングのスキルを磨くことができます。また、オンラインの言語交換プラットフォームを利用することもできます。
取り組む課題は、個人によって異なりますが、アルファベットの覚え方や文法の理解に苦労することが多いでしょう。
また、日本語とは異なる語順や文法に慣れることも課題の一つです。継続的に勉強することが大切です。
聖書によく出てくるギリシャ語の動詞
以下に、聖書によく出てくるギリシャ語の動詞を10個以上紹介します。
| 動詞 | 日本語訳 |
|---|---|
| αγαπαω (agapaō) | 愛する |
| πιστευω (pisteuō) | 信じる |
| βαπτιζω (baptizō) | 洗礼する |
| ευαγγελιζομαι (euangelizomai) | 福音を伝える |
| μαρτυρεω (martyreō) | 証言する |
| κηρυσσω (kēryssō) | 宣べ伝える |
| ερχομαι (erchomai) | 来る |
| αποθνησκω (apothnēskō) | 死ぬ |
| ζαω (zaō) | 生きる |
| αναστηθι (anastēthi) | 起き上がる |
| πορευομαι (poreuomai) | 行く |
| διδασκω (didaskō) | 教える |
| ειμι (eimi) | いる、ある |
| λυω (luō) | 解放する、解決する |
| προσευχομαι (proseuchomai) | 祈る |
以上の動詞は、聖書に頻出する単語であり、聖書の理解を深める上で重要な役割を担っています。
聖書によく出てくるギリシャ語の名詞
以下が、聖書によく出てくるギリシャ語の名詞のリストです。名詞の原形をローマ字表記で示し、その後に日本語訳を示しています。
| 名詞 | 日本語訳 |
|---|---|
| Χριστός (Christos) | キリスト |
| εκκλησία (ekklēsia) | 教会 |
| πίστις (pistis) | 信仰 |
| θεός (theos) | 神 |
| σωτήρ (sōtēr) | 救い主 |
| ανθρωπος (anthrōpos) | 人 |
| αγάπη (agapē) | 愛 |
| δικαιοσύνη (dikaiosunē) | 義 |
| βασιλεία (basileia) | 王国 |
| ψυχή (psychē) | 魂 |
以上の名詞は、聖書に頻出する単語であり、聖書の理解を深める上で重要な役割を担っています。
